ビートルズ、1966年6月10日発売の12thシングル「ペイパーバック・ライター/レイン」が史上最高の曲である理由(和訳付き)。

シングル「ペイパーバック・ライター/レイン」とは?

パスト・マスターズ vol.1&2

(↑アルバム未収録曲を集めた「パストマスターズ」で2曲とも聴けます)

概要

リリース:1966年6月10日

録音時期:1966年4月13日、4月14日

解説:アルバム「Revolver」セッション期に録音された二曲です。

同年8月にリリースを控えたアルバム「Revolver」の露払い的な意味合いで発表され、二曲ともアルバムには収録されていません。。

ビートルズ作品としては珍しくチャートの初登場一位を逃しており、

革新的ではなく、創造性に欠ける

という意見も目にするシングルです。

しかしながら、私はそうは思いません。

むしろこの「ペイパーバック・ライター/レイン」こそが最高のシングルであると断言できます。

その理由は二点。

①ラウド・スピーカーにより圧倒的に太くなったサウンド(「ペイパーバック・ライター」)

②2コードで書かれたとは思えない美しいメロディーと巧みなリンゴ・スターのドラム(「レイン」)

①ペイパーバック・ライター(Paperback Writer)

主にポール・マッカートニーが書いたもの。

歌詞

ビートルズ結成以前、実はポールは小説家を目指していました。

なので彼の作品には、

これに限らず小説めいたストーリーテリングになっているものが多くあります(「Get Back」「サージェントペパーズ」など)。

その中でもこの「ペイパーバック・ライター」は、

小説家志望の男が編集社に仕事を乞う手紙を書く、

という設定になっており、ポールならではの設定と言えます。

世界中の度肝を抜いたサウンド

この曲を聴いてまず驚かされるのはその太い音でしょう。

これは、当時ウィルソン・ピケットという歌手のレコードを聴いて

影響を受けたジョンの意見でラウド・スピーカーが使用されたことが大きく起因しています。

またイントロのヘヴィなリフはポール・マッカートニーが担当しています(バンドでの役割はベースですが、フレーズを生み出すセンスや演奏技術はポールがトップでした)。

カッティングが繰り出されるジョージ・ハリスンのリズム・ギターも見事ですし、

ジョン・レノンの叩くタンバリン、リンゴ・スターのドラム共に疾走感にあふれており、

ビートルズ4人のバンドとしての充実を感じさせます。

②レイン(Rain)

主にジョンが書いた作品。

歌詞(和訳)

常に天気に一喜一憂している人々について歌ったもの。

以下和訳です。

雨が降ると人々は頭を隠す

なんだか死んでるみたいだよ

晴れになればみんな日陰に隠れる

レモネードなんか飲んじゃってさ

雨だろうと僕は気にしない

晴れでもそれだけの事じゃないか

僕が証明してあげるよ

雨が降ってたって同じだってことを

ねぇ、聴こえるかな?

雨だろうが晴れだろうが

気の持ちようなんだよ

Can you hear me?I can show youなどのフレーズが

その後のジョンのメッセージ性を宣言しているように聞こえます。

彼の作詞家としてのアイデンティティが開花し始めています。

リンゴのベストプレイ

この曲のサウンドは当時はやっていた逆回転を多用したものですが、

もう一点特筆すべきものがあります。

それはリンゴ・スターのドラムです。

いわゆるロック的な

「ズッタン、ズズタン」という叩き方ではなく

スネアやタムを多用した歌うようなドラムが素晴らしいです。

これは構成のロック・ポップ史にも多大な影響を与え、

今でも「レイン風ドラム」というのは歌うドラムの代名詞になっています。

まとめ「ペイパーバック・ライター/レイン」

以上、シングル「ペイパーバック・ライター/レイン」の解説でした。

①ラウド・スピーカーにより圧倒的に太くなったサウンド(「ペイパーバック・ライター」)

②2コードで書かれたとは思えない美しいメロディーと巧みなリンゴ・スターのドラム(「レイン」)

ビートルズの全盛期といっても過言ではない1966年のシングルをどうぞ聴いてください!

パスト・マスターズ vol.1&2

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