ビートルズ1969年「アビー・ロード」の制作背景。最後の一枚で再集結した4人の心。

「アビー・ロード(Abbey Road)」とは?

アビイ・ロード【50周年記念1CDエディション】(通常盤)(SHM-CD)

概要

発売日:1969年9月26日

録音時期:1969年2月22日から8月18日

解説

頓挫した「ゲット・バック・セッション」

1969年1月からビートルズは「ゲット・バック・セッション」を行いました。

これはブライアン・エプスタインの死後、

バラバラになりかけたバンドをもう一度原点に戻そうという取り組みでした。

映画スタジオで曲作りを行い、

その様子をそのまま映画で公開しようという非常に新しい試みだったのです。

しかし、結局はメンバー間のストレスを高め、

口論によって終わるという散々な結果でした。

その後、「アップル・コア」社の地下スタジオでレコーディングが始まりますが、

以前までの集中力を得ることはなくメンバーが納得のいく作品には仕上がりませんでした。

「最後にもう一枚作ろう!」

前述の通り、「原点に帰ろう」というテーマでは覇気のでなかった彼らですが、

「最後にもう一枚だけアルバムを作ろう!」というポールの声掛けには意識高く反応し、

結果的に「最高傑作」と呼んでも差支えがないほどの作品が完成しました。

ファンとしては、なんとも言えない話ですが

もうメンバー全員がビートルズを終わらせようとしていた

ことが感じ取れるエピソードです。

圧巻のB面メドレー

アルバムの構成は特殊で、

前半は「Come Together」「Something」などの新曲、

そして後半は短い曲を隙間なく並べたメドレーとなっています。

このメドレーは

「これだけで『サージェントペパーズ』と同じくらい価値がある」

と言われるほどに評価が高いです。

収録曲

①Come Together

ジョン・レノンの作品。非常にブルージーで人気のある曲です。チャックべりーの盗作ではないかと裁判にかけられ、後にその曲をジョンは自身のカバーアルバム「ロックンロール」のなかで取り上げています。

②Something

ジョージ・ハリスンの曲で、彼の最高傑作ではないかと言われているほどの名曲。文句のつけようがないほど、メロディー・歌詞共に洗練されています。

③Maxwell's Silver Hammer

ポール・マッカートニーの作品。非常に彼らしいポップな曲です。この頃のポールは非常に完璧主義者で、何度も同じ曲のセッションを重ねることも珍しくありませんでした。そのため、メンバーはこの時のセッションを「最悪だった」と振り返っています。

④Oh! Darling

ポールの作品。オールディーズな雰囲気のある名バラード。何度も歌ったポールは喉をつぶしかけたといいます。どこか1st「Please Please Me」レコーディング時に、喉をつぶしかけてしまったジョンを思い出します。

⑤Octopus's Garden

リンゴ・スターの書いた曲ですが、かなりジョージが手伝ったようです。全体を引っ張るギターもとてもいい味を出しています。珍しくメンバー全員が同時にレコーディングに参加しました。

⑥I Want You (She's So Heavy)

ジョンの曲。「I Want You」「She's So Heavy」しか歌詞がなく、オノ・ヨーコに影響を受けた後のジョンを象徴するような一曲。7分44秒あり、最も長いビートルズの曲となっています。

⑦Here Comes The Sun

ジョージの作品。「Something」とこの曲で、ジョージのソングライティング能力が、ジョンやポールと比較しても劣らないほどに成長したことを、誰もが確信しました。名曲。

⑧Because

ジョンの曲。ジョン・ポール・ジョージによる流麗なコーラスが楽しめます。ここから伝説のアビー・ロード・メドレーが始まります。

⑨You Never Give Me Your Money

⑩Sun King

⑪Mean Mr. Mustard

⑫Polythene Pam

⑬She Came In Through The Bathroom Window

⑭Golden Slumbers

⑮Carry That Weight

⑯The End

⑰Her Majesty

まとめ

これがラスト・アルバムなのか

リリース順でいえばこの「アビー・ロード」の後に

「レット・イット・ビー」が発売されていますが、

ビートルズのラストアルバムは、

この「アビー・ロード」の方である、

というのが一般的な認識でした。

なぜなら「レット・イット・ビー」のレコーディングは

「アビー・ロード」セッションより前に終わっていたからです。

しかしながら、昨今「アビー・ロード」リリース後の1970年1月3日から1月8日まで追加録音が行われていたことが明らかになりました(ジョンは不在)。

このことから、実質的にも「レット・イット・ビー」を

ラストアルバムとする意見が多数となりましたが、

メンバー自身が「これが最後」と意識的に作ったのは「アビー・ロード」で。。。

無限に続く禅問答のようになってしまいますが、

皆さんはどう思われますか?

アビイ・ロード【50周年記念スーパー・デラックス・エディション】(完全生産限定盤)(3SHM-CD+Blu-ray Audio付)

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