The Beatlesの3枚目「A Hard Day's Night」。その魅力を徹底解説!

ビートルズ(The Beatles)の三枚目のオリジナルアルバム、

「A Hard Day's Night」

名作そろいのディスコグラフィの中でも、

なぜこの作品が初期の最高傑作と呼ばれるのか。

その理由は主に二つです。

①初めての全曲オリジナルによる構成。

②さらに進化したソングライティング。

では、細かく見ていきます。

「A Hard Day's Night」とは?

リリース:1964年7月10日

録音:1964年1月29日-6月2日

タイトルは、リンゴの言い間違いをジョンとポールが聞いていて採用されました。

初めての全曲オリジナル、そして唯一の、、

これまでの1st「Please Please Me」、2nd「With The Beatles」はともに全14曲中オリジナルが8曲・カバーが8曲という構成でした。

それがこのサードアルバムになると遂に全曲オリジナル曲。しかも唯一の全曲Lennon-MacCartney名義の作品となっています(ジョージやリンゴの作曲作品がない)。

同名映画のサントラ

レコードでいうところのA面が同名映画の収録曲であり、B面が映画とは関係がないが楽曲で構成されています。

映画「A Hard Day's Night」

1964年7月6日(アルバム発売の4日前)に公開された、ビートルズ主演の映画。監督はイギリスで短編コメディを多く作っていたリチャード・レスター。ドキュメンタリータッチのコメディー作品。この作品におけるリンゴ・スターの演技が評価され、後の俳優業へも続いていきました。

アメリカでの成功を視野に入れ、映画のサントラを作るというアイディアに至ります。

失敗を恐れて当時の56万ドルという低予算で制作されましたが、結果は大ヒット。アメリカでビートルズ作品が軒並みヒットする布石となりました。

また、この作品の撮影中にジョージは、後の奥さんであるパティ・ボイドに出会っています。

(↓パティ・ボイドに関してはこちらの記事をご覧ください↓)

進化したソングライティング

前述したとおり、初めての全曲オリジナルソングによる構成となった今作ですが、当時24歳のジョン・レノンと22歳(若い!)のポール・マッカートニーの作曲能力がさらに幅広くなっていることが分かります。一つ一つ解説します。

①A Hard Day's Night

主にジョンによる作品。ボーカルも基本的にはジョンですが、中間部の声が高い部分のみポールに切り替えています(ビートルズではよくある事ですが、これなかなか出来ない技なんですよね。二人のスキルと呼吸がしっかりあっていた証拠です)。冒頭の印象的な「ジャーン」というコードストロークとともにビートルズの代表曲。アウトロのアルペジオと共に、映画監督リチャード・レスターのオーダーによるもの。エンジニアのジェフ・エメリックは「嫌だった」と語っていますが、結果とても強いインパクトになりましたよね。

②I Should Have Known Better

ジョンによる作品。フォークというかカントリーチックな名曲で、ガールズグループからの影響を強く感じさせる楽曲です。間奏部はジョージの12弦ギターとジョンのアコギのユニゾン。ハーモニカはジョン。

③If I Fell

ジョンによる作品。ポールとジョンのコーラスが非常に美しいバラード。ルパートと呼ばれるような自由なテンポで入るイントロが珍しく、またそこで引用される3つの転調が非常にテクニカル。そんな凝ったフレーズを最初でしか使わず、そのまま進行していくのがかっこいいですね。

④I'm Happy Just To Dance With You

ジョンとポールによる作品。ボーカルはジョージに取らせています。ジョージの声に合っている佳曲です。

⑤And I Love Her

初期ポールを代表するような名バラード。また、ジョージが弾いているギターリフもセンチメンタルな曲に深みを与えています。ポールのベース以外はアンプを通さず録音され、非常にアコースティックな響きが特徴的です。

⑥Tell Me Why

ジョンによる作品。前のトラックからの流れからは対照的でストレートなロック・ナンバー。ジョンが「映画用にもう一曲必要だったので急いで書いた曲」と語っている通り、他の曲と比べるとラフな印象です。

⑦Can't Buy Me Love

A面の最後を飾るシングル曲(このシングルは史上初めて予約だけで100万枚以上売れました)。有名なジャズ・シンガーのエラ・フィッツジェラルドもカバーするほどのスタンダードナンバーとして浸透しています。ポールの代表曲で解散後もソロ公演で今も演奏されています。

⑧Any Time At All

B面の冒頭を飾るロックナンバー。ここからは映画とは関係ない作品が並びます。主にジョンの作品で、高音部のみポールに歌ってもらっています。

⑨I'll Cry Instead

ジョンによる作品。カントリー調の曲で、映画用に書かれましたが監督リチャード・レスターに却下されています。

⑩Things We Say Today

ポールの作品。テンポの速いフォークソングで、ビートルズの中ではちょっと珍しいタイプの作品です。ポールのお気に入りで、こちらもソロ公演の常連レパートリー。

⑪When I Get Home

ジョンの作品。11テイクも録られてなんとか完成にこぎつけました。どの曲で聴いても、ジョンの「Come On!」はやっぱりいいですね。ポールがピアノを弾いています。

⑫You Can’t Do That

主にジョンによる作品。いかにもリッケンバッカーな響きのイントロはジョージによるもの。だんだんとギターが上手くなってきてるのが分かります。ジョンの自信作でシングルのA面発売が検討されていましたが、ポールが持ってきた「Can't Buy Me Love」にその座を奪われています。めちゃくちゃレベルの高い戦いで、ここに入っていけないジョージ(この時まだ20歳)の気持ちも分かります。

⑬I'll Be Back

ジョンとポールの共作。⑩「Things We Say Today」がさらにポップになったようなマイナー調のカントリーソング。失恋ソングのような歌詞になっていますが、この時ジョンは長らく行方不明だった父アルフレッドと再会しており、その時の心情を歌詞にしたといわれています。

総評

主にジョンの作品が多く、この時期はまだジョンがグループを引っ張っていたことが分かる作品ですね。とはいえポールも「Can't Buy Me Love」や「And I Love Her」といった代表作を提供しており、二人の才能が拮抗していたことをうかがわせます。

全体としてとても聞きやすく、多くの人に好まれています。いろんな場面のBGMとしても最適で、ビートルズ初心者が最初に手に取るアルバムとしてもおすすめですね。

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