ザ・ビートルズ1stアルバム「Please Please Me」の魅力とは?

ザ・ビートルズの記念すべき最初のアルバム、

「Please Please Me」

たった一日でレコーディングされ、

発売後30週間にわたってチャートの一位に立ち続けたこの作品。

(引きずりおろしたのは彼らのセカンドアルバム「With The Beatles」です。)

リヴァプールという小さな港町で出会った四人が一気に頂点に上り詰めてしまった理由は様々な意見があります。

しかし、どれをおいても決定的な魅力とはズバリ

「ジョン・レノンの圧倒的な歌声」

にあったと言えます。

この記事ではその声がなぜ生まれたのかと、この歴史的作品がどのように作られていったかご紹介します。

アルバム「Please Please Me」とは?

リリース:1963年3月22日(モノラル盤)/1963年4月26日(ステレオ盤)

録音:1963年2月11日(先に発売されていた二枚のシングルは除く)

アートワーク:写真家アンガス・マクビーンによるもの。場所はEMI本社(マンチェスターにあった)。

コンセプト

「ビートルズのライブをそのままパッケージにする。一日で全て録る。」

使用楽器

ポール:1961年製ヘフナー500/1

リンゴ:自身のプレミア・キット

ジョージ:1957年製デュオジェット、1962年製ギブソンJ-160Eジャンボエレアコ

ジョン:1962年製ギブソンJ-160Eジャンボエレアコ、1958年製リッケンバッカー325

経緯

2ndシングル「プリーズ・プリーズ・ミー」が大ヒットを記録し、プロデューサーのジョージ・マーティンとメンバーの4人は早急にフルアルバムを店頭に並べる必要があると考えました。

当時のフルアルバムは14曲収録が相場で、バンドは既発シングルも含め4曲録音済みでした。なので、録るべきはあと10曲。ジョージ・マーティンはバンドに「レパートリーを全部レコーディングしよう。1日でササっと仕上げてしまうよ」と提案します。

当日、ジョンは風邪をひいていた?

前日までツアー中で、しかもジョンは風邪をひいていました。スタジオには「Zubes」というのど飴が転がっていたといいます。そのため、一番喉に負担がかかる事が予想されるレパートリー「Twist And Shout」は最後に回されることになります。

ジョンは死ぬような思いで録音をおこないました。その甲斐あってか、アイドルが作ったただの「よくまとまった」アルバムではなく、ただモノではない執念が漂うロックアルバムとしての要素も聴衆にリプレゼントすることになります。

録音時間はわずか10時間

1963年2月11日10時スタート予定だったが、ジョンがひどい風邪をひいていたこともあり、少し到着が遅れます。11時ころレコーディングがスタートします。

11時から13時まで午前セッション

①「ゼアズ・ア・プレイス」

ポールによるオリジナル楽曲。いきなりクオリティが高いです。

https://open.spotify.com/track/4dessGxnKXmTbHPhVgqODq?si=bnRGSpwiS42A8agnZBbWMA

②「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」

これも主にポールによるオリジナル曲。アルバムでは一曲目を飾っています。9テイク録られたが結局最初のテイクが採用された。ところどころ演奏を間違えるメンバーに苛立ちながらテイクを重ねたポールが、9テイク目に叫んだ「ワン、ツー、スリー、フォー!」がジョージ・マーティンにより頭に編集されています。これで勢いが付いていますから、このあたりの嗅覚が素晴らしいですね。

https://open.spotify.com/track/3KiexfmhxHvG5IgAElmTkd?si=k_uBBTHOSHeQl7ICVBtsww

13時から14時半ランチタイム。休まない四人。

13時から90分間のランチタイムが設けられていましたが、ビートルズの四人はミルクだけで済ませ、演奏を続行させました。

14時半から15時15分 午後パート録音開始

③「A Taste Of Honey」

リック・マーロウ作詞、ボビー・スコット作曲のミュージカルソングのカバー。ボーカルはポール。

https://open.spotify.com/track/7fh53ta3vAOGJMQ4i5tCHe?si=CpGbD0GUQHSOFxV-bac2TQ

④「Do You Want To Know A Secret」

ジョンによるオリジナル曲。リードボーカルはジョージ。後期になると自分で作った曲を自分で歌うというスタイルになっていくのですが、初期はこういったボーカルの割り振りが行われました。幼い頃に母親に歌ってもらった「I'm Wishing」という曲を基にしたと、ジョンは語っています。

https://open.spotify.com/track/7Aobt67JnaF7qN8jCCKvHq?si=PR6npO8fTO6xFz0Pu0-mHg

15時45分から17時 いくつかのオーバーダビング

「A Taste Of Honey」のヴォーカル、「ゼアズ・ア・プレイス」のハーモニカ、「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」ハンドクラップ・オーバーダビングを行いました。

17時から18時「ミズリー」

⑤「ミズリー」

ジョンとポールによる共作曲。ボーカルも二人で分け合っています。ポールが上のメロディーを歌い、ジョンが三度下を歌うスタイルは何度聞いても気持ちいですね。

https://open.spotify.com/track/40qXGg5nRbcWzcFb26KWkQ?si=GWJAj0H1QDqdggNqpIZBsg

18時から19時半 ディナータイム

計10曲のレコーディングを予定していましたがこの時点で半分の5曲しか終わっていませんでした。ビートルズは残りの2時間半で5曲を録ってしまわなければなりませんでした。

そん状況ながら、メンバーはそこまで悲観視していませんでした。なぜなら残りの5曲は彼らが既にライブで数えきれないほど演奏してきたナンバーであり、「寝ていても演奏出来る」楽曲ばかりだったからです。

19時半から20時15分「ホールド・ミー・タイト」

13テイクも録るものの、結局収録は見送られます(2ndアルバム「With The Beatles」に収録)。ポールの楽曲ですが本人曰く「シングルにはならない、アルバムを埋めるための曲」、ジョンに至っては晩年、「出来の悪い曲で、面白いと思ったことは一度もない」とまで語っています。

20時15分から20時45分 「アンナ」

⑥「アンナ」

アーサー・アレキサンダーのカバー。ボーカルはジョン。3テイク録音され、3テイク目が採用されています。

https://open.spotify.com/track/2baEFuU0gQon0hgVRioI1o?si=dNpCaJ8YT0mVaKgnqX7DzA

20時45分から21時 「Boys」

⑦「Boys」

ルーサー・ディクソンとウェス・ファレルによる曲のカバー。ボーカルはリンゴ。リンゴの不慣れな声が新鮮なのと、他の三人のコーラスがとにかく綺麗です。15分で終わってるのがすごいですね。

https://open.spotify.com/track/7JxGM1R32ZqfwZou3VtnTg?si=gnztVTDMT8i5VWeqWqJ2bA

21時から21時半「Chains」

⑧「Chains」

ジェリー・ゴードンとキャロル・キングによる楽曲のカバー。ボーカルはジョージ。4テイク録音され最初のテイクが採用となります。

https://open.spotify.com/track/3JQWLa88R35d971o5bIImd?si=XXajORx0TAmO-Q7SQR6Y4g

21時半から22時 「Baby It's You」

⑨「Baby It's You」

女性コーラスグループ「シュレルズ」のカバー。作詞はマイク・デイヴィッド、作曲はバート・バカラックとルーサー・ディクソン。ボーカルはジョンが担当しています。風邪をひいていたこともあり、ジョンのメインボーカル曲は少ないですね。「シャララララ」というコーラスラインが印象的です。

https://open.spotify.com/track/2VmB1rF9FtfKUmFHDVnq8Q?si=n1MaWEA3R5KwlANEPTG50Q

そして、ビートルズが頭一つ抜ける瞬間

22時15分から22時30分 「Twist And Shout」

⑩「Twist And Shout」

世紀の大歌唱ともいうべきジョン・レノンの叫びが見事に記録された瞬間です。15分で2テイク録られましたが、採用されたのは最初のテイク。正真正銘一発勝負でした。それほどまでにジョンの喉は疲弊しきっていたんですね。

プロデューサーのジョージ・マーティンは当時を振り返り、「体を切り裂くように歌っていたから、1曲終えるごとに彼の喉がどうなるかは、神のみぞ知るという状態だった。だから最初のテイクで仕上げる必要があった。テイク2以降は絶対に上手くいくはずがない、という確信があった」と語っています。

ここで録音されている彼の歌声はどんな風に表現していいかわからないレベルで鬼気迫るものがあります。

カモン!カモン!カモン!ベイベーナウ!

という歌詞には、

「君たちと一緒に素晴らしくなりたいんだ」

という風にも聞こえますし、

「俺をここから出してくれ!」

という突破への切望にも聞こえます。

このテイクがあるのとないのでは、ビートルズのその後は大きく変わっていたのではないでしょうか。

(もしなければ、よくまとまった綺麗なコーラスバンドどまりだったかもしれません。)

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