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「ジョンの魂(John Lennon/Plastic Ono Band)」とは?
概要
発売日:1970年12月11日
録音時期:1970年 9月26日から10月9日
製作背景
ジョン・レノンが自分を対象化した作品
ビートルズのラストアルバムである「レット・イット・ビー」をリリースしたのが1970年5月8日。このジョン・レノン初のソロ作品は半年もたたずにリリースされています(それ以前のオノ・ヨーコとの共作は発売していましたが)。
レコーディングは1970年9月から10月までの約2週間ほど。短いと感じられますが、演奏のシンプルさを聴けばそれも多少納得できます。
ここで表現されているのは「ジョン・レノン」自身のこれまでの歩みです。
ビートルズを離れ、自己の対象化に本格的に踏み込んだ作品と言えるでしょう。つまり非常に内省的です。
この作品に対する世間の評価はとても高く、ロック名盤企画の常連となっています。
レコーディングにはリンゴ・スターも参加
プロデュースは、ジョン、ヨーコにフィル・スペクターの連名。楽曲のほとんどが、ジョン・レノン、リンゴ・スター、ベースのクラウス・フォアマン(画家としても活躍していてビートルズの1966年のアルバム「Revolver」ジャケットも彼の作品)だけで行われています。
限りなくそぎ落とされたサウンドは、もしかするとビートルズが作りかけた幻のアルバム「ゲット・バック」の理想に近いのかもしれません。
収録曲
①Mother
レコーディング前にジョン・レノンとオノ・ヨーコが受けた「原初療法(幼少期の記憶までたどり、すべてを吐き出すという精神療法。これによりジョンは母親の記憶を蘇らせたと言います。)」の影響が色濃く感じられる作品です。フェードアウトアウトしながらのジョンのシャウトが痛烈に響きます。
②Hold on
③I Found Out
④ Working Class Hero
⑤Isolation
⑥Remember
⑦ Love
フィル・スペクターがピアノを弾いています。
⑧ Well Well Well
⑨ Look at Me
⑩ God
「I don't believe The Beatles!」という叫びは、世界を驚かせました。アルバム「レット・イット・ビー」にも貢献したビリー・プレストンが、ピアノで参加。
⑪ My Mummy's Dead
まとめ
この作品が名盤であることに異論はありませんが、
あまりに高評価を得たり、消費されることにやや怖さも感じてしまいます。
ここで表現されるのはジョンの内面ですが、それはとても生々しく痛ましいものだったりもします。
この作品以降、洋邦問わず「アーティスト自身の内面をどこかナルシスティックに打ち出す」ものが増えてしまったことも功罪として考えられるでしょう。