ビートルズのアルバム「With The Beatles」の魅力とは?

ザ・ビートルズのセカンドアルバム、

「With The Beatles」

記念碑的な存在のファーストアルバム「Please Please Me」と

超有名曲を含むサードアルバム「A Hard Day's Night」に挟まれ、

もしかすると地味な印象を与える作品かもしれませんが、

これを初期ビートルズの最高傑作と推す人も多い素晴らしい作品です。

一言でいえば

「黒人音楽への接近」だと思います。

一つ一つ詳しく見ていきましょう。

「With The Beatles」とは?

概要

リリース:1963年11月22日

録音:1963年7月18日~10月23日

アートワーク:写真家ロバート・フリーマンによるもの。ファーストがカラーだったのに対してこちらは白黒で影が印象的な「ハーフ・シャドウ」という手法がとられています。マネージャーのブライアン・エプスタインが同じくロバート・フリーマンが担当したジョン・コルトレーン(有名なジャズ・ミュージシャン)の白黒写真に感銘を受けて依頼しました。

3か月の録音期間

一日で録音された前作と違い、今作は1963年7月18日から10月23日までの三か月間、計7回のセッションによって行われました。

7月18日:「You Really Got A Hold On Me」、「Money(That's What I Want)」、「Devil In Your Heart」、「Till There Was You」

7月30日:「Please Mr.Postman」「It Won't Be Long」、「Money(That's What I Want)」、「Till There Was You」、「Roll Over Beethoven」、「All My Loving」

9月11日:「I Wanna Be Your Man」、「Little Child」、「All I've Got To Do」、「Not A Second Time」、「Don't Bother Me」

9月12日:「Hold Me Tight」、「Don't Bother Me」、「Little Child」、「I Wanna Be Your Man」

10月3日:「I Wanna Be Your Man」、「Little Child」

10月17日:「I Wanna Hold Your Hand」、「This Boy」、「You Really Got A Hold On Me」(「I Wanna Hold Your Hand」、「This Boy」はシングルとして11/29にリリースされます)

10月23日:「I Wanna Be Your Man」

曲の特徴

前作「Please Please Me」と同じようにオリジナル8曲、カバー6曲という構成ですが、前作は白人によるポピュラーソングが多かったのに対し、今作では主にブラックミュージックのレーベル「MoTown」から発売されていた曲のカバーが多く含まれいます(カバー曲6曲中の3曲がMoTown作品。「Please Mr.Postman」、「You Really Got A Hold On Me」、「Money(That's What I Want)」)。これはレコーディング前にメンバーが、カバーしたい曲をそれぞれ持ち寄った結果であり、当時のメンバーがいかに黒人音楽に興味を持っていたかが分かります。

収録されなかった超ヒットソング

この前作リリースが1963年3月22日。で、今作リリースが1963年11月22日ですから、わずか8か月で2枚目のアルバムを仕上げてしまったことになります。

しかも、同年4月12日には「From Me To You」、8月23日には「She Loves You」という超特大ヒットシングルを放っています。

ビートルズのすごいところはこれらのヒットシングルをアルバムに入れないところです。ジョン曰く「そこらのバンドと一緒にされたくなかった」とか。

逆にこのアルバムの2曲目「All My Loving」とか超ポップなのに、シングルじゃないところもすごいんですよね。

収録曲

It Won't Be Long

主にジョンによる作品。リードボーカルもジョン。勢いのある始まり方が一曲目にピッタリです。

All I've Got To Do

ジョン・レノンか書いたとされている作品。彼女を電話で呼ぶ設定など、アメリカ進出を目指していたビートルズらしいです。

All My Loving

ポールによる作品。リードボーカルもポールが務めています。ジョンに「完璧」と言わしめたほどにクォリティーが高い一曲です。

しかしながらこの曲の魅力はメロディーもさることながら、ずっと三連で弾き続けるジョンのギターによるところも大きいですね。これ、ギターを弾ける人はぜひやってみてもらいたいのですが、このテンポで3連はキツイ。メンバーの演奏技術の向上も確認できる楽曲です。

Don't Bother Me

ジョージの作品。ビートルズにおける初めてのジョージ作曲。ボーカルもジョージです。

友人から「なんで君は曲を書かないの?」と手紙をもらい、それに曲でこたえたとのこと。Don't Bother Me=ほっといてくれ。なるほど、ですね。

Little Child

ジョンとポールの共作。当初はリンゴボーカル用に書かれましたが結局ジョンが歌っています。ただ、曲調はほのぼのとしていて、確かにリンゴっぽいですよね。

Till There Was You

メレディス・ウィルソンの楽曲のカバー。ポールのボーカルにとてもよく合っています。今でもこのギターアレンジを参考に多くの人がカバーしていますよね。名曲です。

Please Mr.Postman

モータウンのグループ「マーヴェレッツ」のカバー。スティービーワンダーやシュプリームスなど数多くのアーティストにカバーされている超名曲ですね。ジョンのシャウトするようなボーカルが素晴らしい名カバーです。

Roll Over Beethoven

チャック・ベリーのカバー。ボーカルはジョン・レノン。ビートルズのメンバーは全員アメリカのロックンロールに心酔していましたから当然の選曲ですね。

Hold Me Tight

ポールによる楽曲。「Please Please Me」セッションでも試されてボツになっていた曲。手拍子を入れるなどしてダンサブルなアレンジが施されています。ポールもジョンもこの曲の評価が低いようですが、普通にいい曲です。

You Really Got A Hold On Me

モータウンのバンド「ミラクルズ」が1962年に発表していたヒット曲。作詞作曲はスモーキー・ロビンソン。

I don't like you,but I love you.(お前の事は好きじゃないけど愛してるんだ)

という歌詞が見事ですよね。ジョンのボーカルも哀愁たっぷりで素晴らしいし、ポールとジョージのコーラスも息ぴったりです。

I Wanna Be Your Man

親交の深い「The Rolling Stones」のセカンドシングルにポールとジョンが書いた曲。ビートルズではリンゴが歌っています。これ、ドラム叩きながら歌ってるんですよね。それを考えるとさらにすごいです。

Devil In Your Heart

「ザ・ドネイズ」のカバー。作詞作曲はリチャード・ドラプキン。特にヒットした曲ではありませんでしたが、リヴァプールの船員がたまたま持ち込んだレコードによって、ビートルズが発見。世界中に知られることとなります。ボーカルはジョージ。

Not A Second Time

ジョンによるオリジナル曲。スモーキー・ロビンソンをイメージして書かれています。短い楽曲ですが、コード進行が凝っていて評価の高い一曲です。

Money(That's What I Want)

1959年バレット・ストロングのカバー。ジョン・レノンがリードボーカルを務めています。印象的なピアノはジョージ・マーティンが弾いています。

アメリカ進出への布石となった作品

今作がリリースされた翌年1964年、ついにビートルズはアメリカに乗り込みます。

それが出来たのも1963年に二枚のアルバムを出し、イギリス国内での人気を確立したから。

世界へ飛び立っていく4人の前夜を記録した貴重なアルバムです。

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